ふつうの軽音部 セクマイの話

69話までのネタバレを含みます。
※軽率な話をしているので軽率にそういう話をされるのが苦手な方は閲覧しないようお願いします


 2025/06/12 
ふつうの軽音部、ふつうの世界の話としてしれっとセクマイのキャラクターを出してくれるのありがたいな〜と思っていて、たまき先輩の悩みもセクマイがどうのということよりも友人とバンドのことがメインの悩みとして出てきているのすげ〜〜好きで ふつうの人間だよ ほんとうに

こういうキャラクターって作品の中で出てくるとなるとどうしても同性愛部分を主軸にされがちというか、そのキャラクターの一番な悩みやうまみ、メインの題材を「そこ」にされがちな印象があるんですが、ふつうの軽音部はこういう要素を持ったふつうの高校生ですよとお出しした上で別にそこが主軸ではない悩みや壁をえがいてくれるので ほんとうにいい作品なんですよね……安心して見ていられるというか そういう側面を持つ人間がつねに己の恋心で悩まされているわけではないので ふつうの世界だな


それはそれとして、バイまたはゲイのキャラクターもしれっと出てくるのかもな〜とおもっている これはビーエルとかの話ではなく

既存キャラクターでさらっとそのあたりをもし出してくるなら水尾なのでは?とおもっているんだけど、彼に関してはまだまだわからないことが多いからな はとっちからの矢印に対して水尾がどう動いてくるかを考えると今のところは何もなさそう(友情とリスペクトはめちゃくちゃあるし仲良い友達というのは大前回として!)だな〜とは感じる 妄言です どっちにしても今はとっちは告白とかしないとおもうしな

個人的にこのキャラがそうだったらかわいいなとおもっていたのは元ちゃんだったんですが、元ちゃんはめちゃくちゃストレートに桃ちゃんに片想いをしているのでこの線は無い 完

田口も女の子好きなふつうの男子でかわいい 本当にかわいい 個人的に一番の癒し枠 かわいい かわいいね

でもあんまメインキャラクターとしては出してこないかもな とも思う それこそ、それをメイン題材としては扱わない気はするので

いや鷹見があとからバイって言われても全然納得はするけど 告白されたら女の子と付き合いはするけど選ぶまでもなく男と遊んでる方が素直に楽しいタイプなのはわかるし それはそれとしてもし本気で男に告白されたら一回付き合ってみるくらいの度量もあるとおもう それでもまあ「性的に付き合いたい」とかより「男とつるんでいる方が楽しい」の側面がつよいだろうなとおもうけど

ふつうの軽音部69話 ネタバレ感想

69話ネタバレ
主に鷹見兄弟の話
※鷹見兄弟に関してブロマンス表現があります。


 2025/06/08 
鷹見がキメキメにキメるとなった時に兄貴の髪型そっくりそのまま真似してるの本当に効く……ちょうど鷹見兄弟の過去編に入ったところまで読み返せるのもありがたい。

罪悪感とやってしまった失言の撤回ができないまま聞いた「普通に生きてくれ」は完全な決別と失望に聞こえていたから数話前の兄貴の顔は蔑むような顔で描写されていたんだろうな~とおもうけど、実際はただただ穏やかで寂し気な許しの顔だったの、泣いてしまうじゃろが~~ 兄貴の顔見れてないもんな……

兄貴は「己のおかしさ・異常性」に対比した肯定的な「普通に生きてくれ」だったんだろうとおもうけど、鷹見にとっては「特別ではない」という否定的な普通として響いちゃったんだろうな。

「俺がっていうか……」あたりの、やってしまった顔がほんとうにキツくて 好きだな……表現力の鬼? この時点でも謝れないまま、さよならも言えないまま大好きな兄貴と別れたの、人生の傷すぎる。

「周りの人もそう言ってたから…」の次のコマの兄貴の顔、よすぎ? すごい 許しじゃんな 諦観もあるとおもう 穏やかな諦観が…… それでも顔は穏やかなにいちゃんなんよ

兄貴は鷹見のこと周りに紹介する時に一回も恥ずかしそうな顔はしないで、自慢の弟って言いきっていて、対比がすごいよ…… 鷹見は一度周りからバカにされたからそれ以上もう言えなくなっちゃってるだろうし

まわりにヤイヤイ言われてかっこいいのにな……って思い返しながらぼろぼろに泣いちゃったりしていたことがあるのに、自分が一番認めたくなかった有象無象の言葉を他でもない自分で言ってしまったの傷すぎ

兄貴のバンドが大阪でちょっと有名になってきたときも、周りが盛り上がっているのを見てはじめて、あいつは見る目がなかった、やっぱりかっこいい、って自信を持ち直しているところも周りの人間ありきなんだよね(ずっとかっこいいとは思っているけど自信はなかったので)

兄貴は躁鬱のケがあるんだろうけど……というか兄貴はそもそも小さい時に母が出ていってしまった時点からの傷がめちゃくちゃデカそうだからそこが……そこから……なのかな 色々 バンドのメンバーが就活成功して上京しないって選択した時点で、あの時みたいに自分に力が足りないから置いていかれたと思っちゃったんだろうな 糸ちゃんが追いかけて何言っても聞こえないくらいショックだったんだろうなーて

でも帰宅して自分の弟がけなげに自分を追いかけてギター弾いてるの見て目に光が戻って穏やかに話しかけてギター褒めるあたり、兄貴も鷹見の健気さに癒されていたとおもうんだよなあ だからこそ別れる時に言われた鷹見の言葉は確実に兄貴を傷つけていて、あの時点で最後の希望・癒しだったであろう弟からのごく一般的な正論は、ものすごく寂しかったろうな でもそれ(普通)が苦しくない生き方だろうから自分から離れたところで普通に生きてほしかったのかもな 普通を外れた生き方が苦しいのは誰より知っているから

鷹見はずっと心の中では兄貴がずっとかっこよくて憧れだったけど、周りの声を無視できなくて、自分はかっこいいと思っているけどでも周りが……っていうのがずっとあったわけで つれえ でもずっと兄貴がかっこよかったのにな

糸ちゃんに対しての「幸せに生きてくれ」も鷹見に対しての「普通に生きてくれ」もきっと同じ意味で、自分みたいにならなくていいし自分みたいなのにこれ以上気を使ったり振り回されたりしなくてええんやでっていう愛情だと思うけど 苦しいよな

鷹見兄弟 す、すきだ~~~ 兄貴今どうしてるんだろうな……


 2025/06/09 
ふつうの軽音部69話ネタバレ2 鷹見兄弟とはとっち

はとっちを象徴する歌が閃光少女で、鷹見を象徴する歌が海と山椒魚なのべきべきに泣いちゃうだろ

「私は今しか知らないあなたの今に閃きたい」と「今なお浮かぶこの思い出はどこにも落とせはしないだろう」の対比、うつくしすぎる

鷹見の複雑な家庭環境もひっくるめて「ふつうの軽音部」としてえがかれているの、作者の感性だいすきだな〜とおもう。複雑な家庭って現代ほんとうにふつうだよな〜。これを特別ではなく、当たり前のように世の中に存在する普通の家庭のうちのひとつ、として切り取ってもらえるの、救われる気持ちがある。

超個人的な性癖で言えば兄貴がどこかですでにのたれ死んでいる方が描写としては好き(カスの感性)なんですが、これはふつうの軽音部なので、全然あとから出てきてくれるだろうな〜。好みは置いておいて、まともな読者としての感情で言えばもちろん鷹見と兄貴はまた再開して仲直りしてくれたらいいなあという願いはあるし、鷹見にはそりゃハッピーに音楽やってほしいので、いつか……あるといいな。会話は読者に伝えないで1コマだけ再開したコマがあるとかだけでもうれしいから……

正直ここまで鷹見の内面を見せてもらえるとおもっていなかったので今の時点で読者のわたしはかなり えっ そんな いいんですか? ありがとうございます……となっている。い、いいのか?おれたちに見せちまうの、もったいなくねえか……!?(???)

鷹見、このまま兄貴の件がどうにもならない限りどんなに今がハッピーでもずっと日の当たらないところで自分をころしている気がするから、どうにか今に目を向けられるようになるといいよな。プロトコル、今のところメンバー全員の感覚も近くていいとおもうので……まあごく普通の軽音部だとしたら数年後に誰かしら抜けるとかはあるとおもうけど。

わたしはあんまりはとっちのこと神と崇める方向性の楽しみ方は好きではないのではとっちにそういう思想を押し付ける気は無いけど、鷹見になんてことないことを言って少しだけでも心を軽くしてくれるのははとっちなのかな〜とはおもうので、いつかそういう展開が来るといいな。これは恋愛感情がどうのとかではなく、ライバルとしての言葉とか、同級生としての言葉とか、そういう軽さがいいなとおもう。

ただ、今鷹見がバンドを楽しくやれているきっかけは間違いなく田口だとおもうので、田口ってサイコーだぜ。ずっとそこにいてくれ。


 2025/06/10 
ふつうの軽音部、鷹見兄弟、などで検索をかける日々……皆さんお元気ですか?

お見かけしたpostの中に「カプかというとカプ寸前」という言い回しをされている方を見かけて、こ、こ、これだ……となった次第です。カプ寸前、見事な表現だな……。

肉体関係が見たいという感覚が0なのでそういう方向性ではなく、でもただの兄弟というにはあまりにも……。お互いに恋愛感情は100%なくて、それでも唯一無二で、お互いに相手が前向きな気持ちで自分を見てくれていたらなんだかあたたかくなるし疲れていてもふっと笑えてしまうような、そんな……そんな関係だったのにあの別れに落ち着いてしまうの、本当に……好きだな……どうしようもない。

ただわたしが闇寄りの趣向なので今一番見たいのは、あのやりとりをした上でも別れずに鷹見が半ば無理やり兄についていって、鷹見兄はバンドとバイト、鷹見は学生生活とバイトをし、二人暮らしで細々と暮らし、兄はバンド組んだり解散したりしつつ、鷹見は彼女ができたりできなかったりしつつ、兄の調子がいい時は楽しく過ごし、兄の調子がどん底の時は起き上がってこられない兄の様子をそっと確認しに来た鷹見が近くに腰を下ろして本を読んだり時々薬と水を飲ませてやったり言葉少なく健気に世話をするような仄暗いやつです。徹頭徹尾、お互いに性的な欲はない。これがビーエルなのかもうよくわからないけど、不健全なことは、わか、わかる。本編でこうならないからこそ……さ……

いたたまれなくなってきつつある。略語もわからない……


 2025/06/11 
鷹見が言い寄って来る女を毎回受け入れてお付き合いして兄足り得ない面(≒自分に似た普通な面)を見つけるたびに別れるのを繰り返しているの、やっぱり文脈じゃないですか?

毎日通話したがる普通の恋愛はダルいし、勉強なんかできないほうがいいし、将来設計ちゃんとしてると冷めるし、でも自分に言い寄って来る普通の女の子とは当たり前のように付き合うの、空虚な男すぎる 普通の女しか寄ってこないだろどう考えても

男女問わずすべての他人に対して「兄の面影がない」ことを感じてがっかりしているの出汁が効きすぎている

ていうか付き合った女の子が兄に似ていたら飽きないんですか? 絶対そんなことないだろ……でも別に兄と付き合いたいわけではないと思うし ただ日常生活で欠けてしまった兄というデカすぎる存在のかけらを少しでも浴びたいんだろうな 兄ではない人たちに兄を求めるな わたしは好きです

兄ではない人たちに兄を求めていること、兄が知ったら「アホやな〜そんなん俺ちゃうねんからそらそこに俺はおらんて」ってへらへら言いそうだけど、言ってくれる兄がいないからしょうがないね

わたしは二度と兄と再会できないどうしようもない一生引きずりエンドがドッ好みですが、ふつうの軽音部は過去との対峙や前進をしっかりえがいてくれる作品なので作中でなにかしら兄に関するいろいろを経て鷹見はちゃんと前を見て歩けるようになるだろうな〜とおもっています。


 2025/06/12 
鷹見は他人(主に女)が特別ではなく普通(=つまらない)な面を出してくると一気に冷めてしまうけど、竜季(鷹見兄)は他人が普通(=まとも)な面を出してくると自分の異常性にこれ以上付き合わせられないと感じて自分から離れるようにしているように見えるんだよな。

鷹見にとっては普通の反対は特別。
彼の言う普通が意味するものは、つまらない、尖っていない、常識から逸脱できずにとどまっていること。

竜季にとっては普通の反対は異常。
彼の言う普通意味するものは、まとも、平穏、常識から逸脱せずに群れの中でまっとうであること。

だからそもそも鷹見にとっての普通は蔑称で、竜季にとっての普通は褒め言葉で、ここがもう食い違ってしまっていたんだよな。この普通という言葉に対する価値観の差異をお互いが理解しない限り、この兄弟のすれ違いは残っちゃうよな。

そもそも竜季ってさらっと「母親が出て行ったのは自分が勉強も運動もできない(=まともじゃない、普通にできない)なんもええとこない子供だったから」というのが根っこにトラウマとしてあるとお出しされているので、普通の人間のように普通に学生して普通にバイトが続けられて普通に就職して普通に生きていければ、群れの中で誰かに置いていかれることもなく幸せに生きていけるはずだと信じているとおもうんだよね。だってそうじゃなかったら自分は置いていかれなかったはずだから。

バンドメンバーをクビにしたタイミングは「将来を考えてまっとうな基準で未来のために就職を選んだ」メンバーを目の当たりにした時なので、「自分の異常性(=周りと同じように普通のことが普通にできない)」にこれ以上付き合わせられないと感じてわざと酷い言い方をしたように見えるんだよね。

糸ちゃんのことも、「ええとこのお嬢様やし頭もええやろ(=俺と違って)」と評していて、糸ちゃんが「いい年していつまでスネとんねん」という返しがあったから、感性がまともだとわかっちゃったので離れたと思うんだよな。あと「自分もでかい家住んでるやろ」に関しては、あー確かになーそこからも離れないとなってなってその直後に家から出る直談判をしたとおもう。これはもちろん糸ちゃんが悪いとかいう話では一切なく、竜季の意固地というか、自分がまっとうになれないことに対するひねくれた意地ではある。糸ちゃんはかわいそうだよ。でも竜季はおそらくそれすら理解しているので、自分に付き合い続けようとしてしまう可哀想な糸ちゃんをもう解放してあげないといけないからこそ、一方的にバンドの解散を宣言して告白にも応えずフったとおもう。

そこまで理解して相手のためを思って自分から離れるところほんとひどい男だからね。好きですね。これ糸ちゃんだけにじゃなくて自分の弟にもやってますからね。この辺の、自分を大事にしようとしている人たちから逃げてしまうあたりも、自己防衛を感じなくもない。こんな自分のためにまともな人間を付き合わせているわけにはいかない、という自己肯定感泥水みたいな面がある気がする。相手がまともであればあるほど自分に振り回されず自分から離れて幸せに暮らしてほしくなるのかも。

鷹見が「兄貴には音楽で食っていける才能がない」と言ったことに対して「そうかもな」と言ったのは、糸ちゃんに伝えていた「俺には音楽の才能はない」に通ずる部分だと思うのでそういう自認はあるんだと思うけど、それを弟の前ではそれまで言わなかったわけで。竜季本人がメンタル弱いところを鷹見に徹底的に見せずにいたからこそ、糸ちゃんが兄のメンタルに対する心配をした時に鷹見はあんなにメンタル強い人もいない、と思っていたし。別れる直前にも「俺ほどの才能があれば」と発言したのは鷹見の前ではかっこよくて才能のあるミュージシャンでいたかったんだろうな。

でも鷹見が自分に対してただ心酔していたわけではなく、ファンでありながらも真っ当な意見をぶつけてきたことで、「自分(兄)に対する憧れがある上で、それでも常識的な真っ当な評価をぶつけてくる(=群れの中でまともに生きることができる思考の持ち主)」と認識し直したと思うんだよな。だから「ああこいつは自分と違って真っ当に生きられるんだろうなあ」っていう安堵と少しの寂しさが「周りの人もそう言っていたから」の直後の表情なのかなーとおもった。

だから直前までは「項希お前も東京遊びに来いよ」と言っていたのに、「普通に生きてくれ」で完全に手を離して穏やかに離れて行ったんだな。

竜季にとっての「普通に生きてくれ」は糸ちゃんに言った「幸せに生きてくれ」と同義で、そこには「自分のような異常な者から離れて」も含まれているとおもうので……そこに寂しさはあれど、まともな人間でよかった、という感情があるのかも。だから自分から離れて行かないといけないんだろうな竜季のなかでは。普通であることはいいことで、普通でいられないことは罪だと思っていそう。おい!やめな〜〜!

個人的な感覚としては、竜季の息の仕方って芥川龍之介や尾崎豊に近いものを感じるんだよね。本当に感覚的なものになるけど……ふつうの型にハマって生きていくことが難しくて、息苦しくて、自分らしく生きるためには世界が狭いんじゃないのかって、そういう生きざまを感じている。

竜季は甘ったれのクソバカと自分を蔑んでいたけど、それでも自分らしく生きるために何かを曲げることがどうしてもできなくて、他の人と同じ方法で呼吸をするのが簡単じゃないんだろうな。

竜季はそんな自分が嫌で内心では自己肯定感が低かったのに、鷹見はそんな兄(常識に囚われず自分のやりたいことを通す)だからこそ憧れたので、この兄弟って…………

ダンジョン飯:マルシルとシスルの話

本編とデイドリームアワーに関するすべてのネタバレが含まれます。


 エルフのすきなところ 
 エルフ関連の話でどうしても泣いてしまうのでシスルの話 くるしむ

 ダン飯読み終わってしばらくはマルシル……うぐうう……マルシル、どうするんだよお……になったが、随分経ってからはシスルのことを考えて天井を見上げている

 シスルの最期がほんとうに

 ………………

 むずかしい。いろいろな言葉が浮かんでは消えるが、つまるところ言葉にしたくないのかもしれない。

 マルシル、シスルと人間が大事で護ろうとした者たちの行いが、叶うことのない傲慢としてえがかれているの、めちゃくちゃかなしいんだよな。でもそこがすきで……。

 マルシルはパパとピピ、からの迷宮の兎回でなおさら追い詰められた感じがするからナイトメア回と迷宮の兎回がめちゃくちゃすき。そりゃそうなるだろ。そうなるだろ……。

 多分ごく一般的な世界にとっての正しい愛って死を受け入れて見送ることなんだろうけど、それができなくて苦しむひとたちが悪ではなくやりすぎとして扱われているのはちょっと救いなのかもな……いやわからん、悪なのかな。でもそういう傲慢な夢をえがいた者たちは怒られはしても断罪されたわけではないのがなんだかすごく……よかったんだよな。悪というにはかなしすぎるから。愛ではないかもしれないけど……でも正しい愛ってわたしはむずかしいなとおもうから、やっぱり傲慢な庇護欲のことはすきなんだよな。おろかでかなしい。でも同じ立場ならそうならないとは言い切れない。

 わたしがいちばんすきなエルフはミルシリルなんだけど、そのあたりが割とキャッチーに存続している感じが好きなんですね。これはカブルーが上手にかわせるようになったから許されている部分が大きいわけですが。見る人が見たら過干渉と過保護でゲロ吐くとおもうんだよな、ミルシリルって……。すきだ。

 OPでデルガルとハッピーに思っているシスル見るだけで毎週 ヴワッ…… ってなってしまう。泣いてしまうが……。愛情ばかりは褒めてよ!? 愛情ばかりは褒めてよ……。

 シスル、ダンジョン飯という漫画が開始した時点でもう詰んでいるというか、本当の望みが叶わない状態でスタートしている 終わっている どうしようもなく

 さいごにデルガルのふりをして抱きしめてくれるヤアド、あまりにも慈愛。

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ダンジョン飯:ライオスと金獅子のビーエルあるいは食欲の話

本編とデイドリームアワーに関するすべてのネタバレが含まれます。
また、ビーエル苦手な方、または知らない方は読むのをやめておいてくださいね。


 ライオスと翼獅子はリバ 
 ライオスと翼獅子(≒悪魔)はリバだと思うんですが、ライオスの本当の夢が魔物に食べられることだったので、結局本質的にライオスは受けなんだろうなとおもいました。

 自分の中のフジョシの教科書として食べられたいやつは受けたいだと思っているので、食べたいやつは攻めだし、だからライオスのことはずっと好きなタイプの攻めだな~と感じていた(だいすきだからたべたい!の発想)んだけど、根っこが受けで大変混乱したんですね。本編後に急にひっくり返されたわけなので……今は受け止められています。 ?

 自身が食われることを循環の流れの一つとして良しとする翼獅子も、性質としては相当近いんだけど、翼獅子はどちらかというと「最後に俺が勝つからだ。勝つから楽しーんだ」っていう仙道彰理論なんですね。翼獅子としては他者を食わせて養い、そして最後に自分がご馳走をたらふく食べる、というのが根源的な欲だから、立ち位置の基本は食べる側なんですよ。

 ライオスは魔物が好きだから食べたい気持ちが湧いてきたけど、最終的には自分が食べられたい、だからやっぱりここは似て非なる欲求なんだろうな。鏡の向こう。でも本来であれば対立する欲同士ではないと思うから世界の流れがああだっただけなのだな〜。数ある世界のどこかにはライオスと翼獅子が対立せず寄り添う(またはライオスが自分を食べさせる)世界もあるのだとおもう。直前で、ずっと満腹であることを苦痛だと文字通り死ぬほど感じた場面であるから……タイミングが悪かったね。本当にそう?


 飯を食う漫画の見落とされがちな命題 

 わたしは食の喜びを知らない存在が、食の喜びに目覚める描写が大好きだし尊いと思って生きているけど、ダンジョン飯に限ってはそれがさまざまな事件や騒動の大きな原因になっていったのだな〜と思うと感慨深い。ダン飯出る前から九井先生の描く世界のファンだったけど、俗に言う「いい話」のめでたしめでたしの後のことをご都合主義以外の観点でとらえる人なんだな〜というのはあった(そこやっちゃうの!?みたいな感覚を持つというか、そこ触らなければ平和じゃん!なところを敢えてピックアップされるというか)ので、悪魔がおいしいものを知った後の話をスタートさせるのはそれは……そんな〜 そんな…… そして世界は救われたが悪魔は満たされたわけではない(かと言って悪魔が不幸になったとも言い切れず、真に不幸なのは誰か?は人間側に手渡された)というのがやっぱり話がうまいよなあ。わたしはずっとマルシルの夢や恐怖は……どうなるんや!!というのを抱えている。イーン。ここをきれいに大円団にもっていかないの、信頼が置けるんだなあ……グエー。

 お前たちは飢えるために生きているのだな、というのも、「美味しい」と言う感情が好きで、美味しいご飯をみんなで食べるのが好きな人間からすると、ものすっごい皮肉でウワーー!ってなったんだよね。これもその「そこに触れちゃうんだ!?」っていう……ところ。おいしいご飯を題材にする上で、飢えというのは言わば対極に位置するものだけど、それがあるから美味しいという感覚が生まれるので…… 必要悪というのはまた違うのかもしれないけど、美味しいという喜びを得るために必要なのが飢え(お腹が空くという状態)だから、美味しい思いをするためには飢えることが必要……なんだなあ。ずっと満たされた世界、飢えることのない世界、を否定したライオスたちに対して、悪魔側したらそりゃそう見えるよな〜という一言……おそろしい言葉だよ。すべてのご飯がおいしい漫画の、言わないでいたことだもんな。だってご飯が美味しい漫画って、だいたいは空腹はよくないこととしているだろうし、美味しいご飯を食べることがその漫画にとっての正義だから。スーパーヒーローがかっこよく存在するのに手っ取り早いのはものすごく悪いヴィランが存在するという……そういう感覚。空腹をよくないものと仮定しつつも、その実はその空腹によって潤いを与えられているという命題を……言っちゃうんだ!?って……なるよ。しびれる。食が好きな人からは出にくい視点な気はする。


 目的と方法 

 こんな真面目な話をしようと思っていたわけではないんだって……。

 でもライオスの欲求の根源は魔物に対する愛だから、それって……食べたいの欲求がつよいわけではないんだよな。「魔物を愛する(または愛される)」方法のひとつとして「食べる」があるから、ライオスにとっては方法のひとつなのだとおもう。食欲がメインじゃなく、魔物愛がメイン。だからこそライオスの本当の願いは、魔物愛ゆえの食べられたいなのだろうな。

 逆に言うと欲獅子は「食べたい」欲求がメインだから、他者をかわいがったり養ったりすること、つまり「他者を愛する」ことこそが、食べるための工程のひとつであり、食べるための方法のうちの一つなんだな。そりゃライオスとは似て非なる立場になるよなあ。

 愛する(愛される)ための方法として食べるがあるライオスと、食べるための方法として愛する(愛される)がある翼獅子という構図。


 悪魔からの総評 

 ともかくも翼獅子は食欲から解放されたし、しかもライオスは翼獅子に対して哀れみすら持っていたわけだけど、その哀れみを自分に返されるとは思っていなかったのかなあ。ライオスとしては、元々持っていなかった欲(おいしいものをたべたい)を知ってしまったことを悲苦しみだと感じたのだろうけど、ほとんどの命がその欲(引いては、苦しみ)を最初から搭載している生き物たち(そして満たされた世界を否定までした!)は、やっぱり翼獅子にとっては「飢えるために生きている」という総評になるんだろうな。

 ライオスの魔物愛も、欲獅子の食欲も、どちらもそれぞれ自身が生きるためには一切必要のないこと(要するに趣味)である、というのもまた似た根源を持つ者たる所以なのかもしれない。生きるために不要だけど、それがあると豊かになるもの、というのがそれぞれの行動の根源にあったのだな。そういう意味では良い対立関係だったのか。

 悪魔としては地上に生きる命たちがかわいいし、おいしいから、養ってやりたいとおもうには充分な素質があって……だから満たしてやるってなったわけで。自分たちのお腹も膨れるし、そのついでだから、そういう意味では「騙してやる」というよりは本当に「幸せにしてやりたい」(自分たちのついでに)はあるんだろうな。感情としては重くないけど、そこに嘘はなかった。でも結局、生き物は満たされているだけではダメで、感情の落差が旨みにつながる話もあったから、きっと翼獅子の作り出そうとした世界はゆくゆくは地獄みたいになったろうなとは思う。うーん、スパダリに見せかけた悪魔。

 でも得てして悪魔ってそういうものか……。ヒト側からつけた勝手な呼び名だけど、わたしはヒトなのでなるほどなあとなってしまうな。言い得て妙だ、悪魔。そしてこのヒト側からの勝手な評価が悪になるだけで、本質的に悪かというと、多分そうではないのだろうな……と感じさせるところも本当に漫画がうまいよなあ。結局は魔力の根源ってだけだもんね。ヒトと意思疎通をとりやすくした形が悪魔になっただけで……だから結局ヒトが魔力を利用しようとしなければ生まれなかった存在で、つまるところ……ヒトがいなければさあ……っていう話……。ヴゥー! 皮肉をえがくのがうますぎる。


 マルシルの未来のこと 

 今生きている迷宮の主(過去形含む)がエルフしかいないのもすごくいいんだよな。いいんだよな……。マルシル……どうしたらええんや。解決してないんだよぉ〜〜。そのための研究をしているにしても、あっという間にチルチャックは寿命がくるんだよな。というかさりげなく「俺が死んだら」とか言うのやめなねほんとうにね。でもチルチャックにとってはそれが普通の感覚なんだろうな~~マルシル~~~~~~。さらりとライオス王の死後の話も漫画で出されていたけどオーーーーーーーイ 死んどる~~~~オーーーーーーーイ!! マルシル〜!!

 横道に逸れ続けてしまう。ダン飯、マルシルの未来のことを考えるとくるしみがすごい。とは言ってもきっとある程度どのエルフもどのハーフエルフも通ってきた道で、マルシルはまだハーフエルフとしては若いから、きっともっと長生きしたら考え方も変わるだろうし受け入れていくのだろうなとも思うけど……イヤァ~~!? だとしてもつらいことはすぐ近い未来で起きるんだよなあ~~!? マルシル……。


 結論 

 横道に逸れ続けてしまう(2回目)この感想、そもそもライオスと翼獅子のリバの話だったの嫌すぎるな。ごめんね……。でも読了してからずっとそこが気になっていて……。もう結論を言ってしまうと、根源的には受けになりたい物理的攻め(そして周りからも攻めだとしか思われていない)のライオスと、根源的には攻めだし自分が最終的には攻めに落ち着くと思っていたけど物理的に受けになってしまった翼獅子だなって。カスみたいな結論で終わるな……。終わろう……。ああでも自分が最終的に食べられたかったことをちょっと言い淀むライオスはすごくよかったです。Sexy……

 自分の思想(食べたいは攻め、食べられたいは受け)において一番の被害者は実はミスルン隊長なんですね。流れ弾すぎる。だって……食べ残されたことを本当は悲しく思っていた、食べられたかった、ミスルン隊長って……つまり…………解散!!!!

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チェンソーマン第一部最終話まで ネタバレ感想

マキマさんは最高の女だと思っていたので蓋をあけてみたら色眼鏡で見た推しに自分の解釈を押し付けるイタいOLだったけど最終的に美味しく食べられたからデンジとマキマさんよすぎなんだよな。


 2022/11/11 
いや天使の悪魔のあたりとかアキくんのあれとかこれとかあたりであっあっもうだめだこのひとは……だめかもしれん……となって犬に囲まれてネタばらししたあたりで最悪だ〜〜!!!!となってフィーバーしたけど でもあのあたりはちゃんと悪魔だな〜と感じたし人間の基準で計ってもしゃーないとおもうのでそこは良かったんだけど。

推し本人を推しと気付かずに自分の解釈を押し付けるあたりのイタタ感が一番かなしかったな。

でも好き。

やっぱミステリアスな女はミステリアスなままでいてほしいよな。

でも好き。

矮小な女だったというかんじ。

でもかのチェンソー様も実はちょっとデンジがいなくなっただけでぽろぽろ泣いちゃってたから悪魔けっこう心弱いのかもしれん。ぱわちゃんもそうだが。

かわいいね 悪魔たち

ビームくんとポチタがデンジ不在時にお留守番するだけの漫画とか読みたいもんな。

マキマさんはチェンソー様に食べられたかったのもあったようだけど、チェンソー様が食べなかった理由って結局あったんだっけ。

一部最終話の印象では、チェンソー様としても、マキマさんを誰かに抱きしめてもらってほしかったのかなーとおもったが、謎である。

チェンマ好き絡みいっぱいあるけど一番見たいのはチェンソー様❌銃の悪魔だなあ よすぎるので…………

人の形してる人たちだったらわたしはえっちなお姉さんと童貞によわすぎるからデンジとマキマさんのあれこれがよすぎ よすぎ〜!かなしい 好きだよ どうにもならねえんだわ よすぎ。

好きな相手は最終的に食って腹に収めたいというのがわたしの魂の根源にあるのでデンジが生姜焼き食いながらマキマさんの味を噛み締めているのよよよよすぎ〜〜〜これを週刊少年ジャンプでやってくれるのほんとうにすごいな すごかった 一話から最終話までずっとフルスロットルでだいすきだった漫画。

あれだけ裏切られても結局マキマさんのことすきなの刷り込みありとしてもよかったなあ よかった 嫌いになれないデンジくん 情が深い男だよ 早川家のこともポチタのこともレゼのこともそうだけどどうしよくもなく愛のあるスラムの子供でいい。

そういえば二部で人間はくわねえよ!からの食ったとしても一人だけだね!って訂正入れるところめちゃめちゃすきなんだけどマキマさんのこと今でも咄嗟に人間カウントしてるの愛だな〜とおもう いとおしいね。

あとクァンシ様と岸辺さんの過去のやりとりすきすぎるんだよな かわいいね もう何も見たくねえが……

アニメ一期は姫パイがしぬとこまでやるのかな……幽霊の悪魔のビジュアルでてるし……ゴールデンボウルいっぱい出るから大会までやる?のか?サムライソードさんのビジュアルかっこよすぎるのですきだ おじいちゃん子かわいいし。

二部は吉田と蛸の悪魔の掘り下げ待ってます。

ONE PIECE 1031話 ネタバレ感想

サンジさんとロロノアの話しかしてない


 2021/11/09 
わたしは485話“麦わらの一味・海賊狩りのゾロ”(ロロノア・ゾロがくまのダメージにくきゅうを受ける回)でサンジさんが死に花って言った時点で死に対する覚悟がなんか……自己犠牲による死を美化しているよな〜というのがあって

いやこれは生い立ちというかゼフに生かされた経緯がでかいと思うから一概にどうこう言えるもんじゃないんだけどそれでもやっぱりなァ……バラティエの時も自分が死んでゼフを助けることを簡単に選んでしまうところがあったわけだけど、それが485話で如実にあらわれていたというか……とにかくサンジさんて基本的に根っこの部分では自己肯定力が低い(これもジェルマのせい)んだけど……だからこそ死が必要なときに真っ先に自分を差し出しがちというか ハァ〜 ほんとに 生い立ちのせいなんだけど 生い立ちのせいなんだけどコラ〜!てきもちにはなるのよ。いや、でも生い立ちのせいだけではないのか!? 自分の命の価値の話はジェルマのせいにしても、死を美化し始めたのは、ミホークに対峙したゾロの言動にかなり感化されている気はする。ミホークとの一騎打ちで負けを悟ったゾロが自らミホークに斬られたのを見て、簡単だろ野望を捨てるぐらい!って咄嗟に叫ぶ時点で、あの時のサンジさんって生きることが大事で夢や野望は二の次だった気はする。それが、その直後の誓いのやりとりやら、ゼフ・ミホークたちの態度を見て、強烈にかっこいいもののように感じたのではないのかな。でも、実はそこからズレていたんだな〜て。

対するゾロは、こちらもやっぱり生い立ちのせいではあるんだけど、死は美化するものではなくて「そこで終わるもの」って意識があるとおもうんですよね。くいなの夢や時間や未来はあそこで完全に終わって、それ以上を目指せなくなったと、あの頃に学んでしまった。だから死を美化することはないし、死にたいわけでも、簡単に命を投げ出してそれでよしとする性格でもない。

だから485話の時点でサンジさんが死に花とか言ったところでちょっと見限っているというか、下に見てしまったろうな〜〜というのが印象としてあった。なんの説明も問答も無しに気絶させて黙らせたのも、対等じゃないと判断したからだろな〜〜て。あ〜〜。だからゾロとサンジさんのことあんまり対等ではない認識がある。対等だと思っていたら説明を投げて騙し討ちなんかせんとおもうし。

出会ってすぐのミホーク戦の時点でサンジさんがすごくゾロに感化されていたというか、心を動かされていた描写はあったから、サンジさんがゾロに一目置いていたのはわかりきっていたけど、ゾロからサンジさんに対する感情ってわたしはあんまりわからなかったんですよね。もちろん一味としてみなしてはいるだろうし、認めている部分はたくさんあるだろうけど、それでも自分と並び立つ存在としてはおもっていなかったんじゃないかな。精神的・肉体的というよりは、男として。

対するサンジさん自身も背伸びしてゾロに並び立とうとしていた印象があったけど、サンジさんの死に花発言を加味すると、多分あれで覚悟見せた気でいたんだろうな〜とかとおもうのよ。でもゾロにとってそれは命に対する投げやりさでしかないし、自分と並び立つ男の思考とは判断しなかったろうなって。

それがさーーーーーーー

それが今回、殺してやるってさぁ……おれが殺すまで死ぬなって言葉はさ……すごいことなんですよ。え!?まったく表現できていない。語彙力!?

なにより、○○したら○○してくれ、っていう、これは約束なんですよ。ゾロにとっての約束は死よりも重いわけで、それをおそらく理解しているであろうサンジさんがゾロだけに提示してきたのは、覚悟のあらわれでしかないんですよね。他のクルーでは殺してくれないけれども、こいつならもし自分に何かあった時に、実力的にも精神的にも確実に殺してくれるって判断した結果のあれとおもうとね。

それに今回の死はだれかのために死に花〜とかそんな綺麗なもんじゃなく、あくまでもサンジさん本人の誇りや信念にかかわるもののための死の選択(無論絶対にこの後死ぬというわけではないけど)なんですよ。それをゾロがどこまで理解しているかはわからないけど、そういう、腹にかかえた一本の槍をまもるための、信念にかかわる死の話だということはわかっているだろうので、そういう死は重んじてくれる男なんだよなあ……とおもうとぶるぶるする。今回やっと、だいぶ、ゾロはサンジさんのこと並び立つ男としてようやく目を向けてくれたんじゃないかなあ。わからんけど。まだきっかけにすぎない、ともおもうけど。これまでは、そういうふうには見ていなかったとおもうし。

ヴ……。よかったな。

イヤァ〜〜!?お前が俺を殺してくれって……なに!? すごいことですよ……。すごい……。サンジさんがロロノア・ゾロに頼むというところもとんでもない。

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